二日酔いと水
二日酔いの予防方法はいろいろありますが、 水は二日酔い予防の有益な一手法です。水は、二日酔いの症状の1つである「脱水」と 脱水に伴う各種症状を防いでくれること、 およびアルコールを水で薄めることで、 アルコール摂取量が抑えられ、 血中アルコール濃度の上昇を防いでくれるからです。
そのため、二日酔いの予防(脱水含む)には、 飲酒時の水分補給は非常に効果的です。
ここでは二日酔い予防に効果のある水について、 その飲み方やコツについて紹介しています。
※備考:「二日酔いと脱水症状について」
二日酔いと脱水症状には、幾つかの考え方があり、 脱水症状と二日酔いは互いに独立した変数であるとする考え方(※1)と、 脱水症状は二日酔い同様、アルコール摂取によってもたらされることから、 二日酔いの一症状であるとする考え方(※2)があります。
当ページは、水に関する内容であるため、 なるべく「二日酔い」と「脱水」を分けて表現しています。(他ページでは分けてない場合があります。)
参考:
※1:2008年「アルコールの二日酔い - 不可解な現象」
※2:2007年 Damaris J. Rohsenowa(アメリカ ブラウン大学)「急性二日酔いの物差し:即時の二日酔い症状の新しい尺度」
※1:2008年「アルコールの二日酔い - 不可解な現象」
※2:2007年 Damaris J. Rohsenowa(アメリカ ブラウン大学)「急性二日酔いの物差し:即時の二日酔い症状の新しい尺度」
水がなぜ二日酔いに良いのか
水が二日酔い予防に効果がある理由は、 体内に入るアルコール量を少なく抑えることができるからです。酔い方を決めるのは、 体内に取り入れるアルコール量と、 体内で処理できるアルコール分解量です。
アルコールは一度に大量に体内に入れても身体が処理できないため、 血中アルコール濃度が上がり、二日酔いの原因となります。
イギリスNHS(国民保健サービス)によると、 二日酔いを回避する方法の1つとして、以下の4項目を挙げ、 水の重要性、水の活用方法を提示しています。
二日酔いを回避する方法(※1)
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参考:
※1:イギリスNHS(国民保健サービス)
※1:イギリスNHS(国民保健サービス)
これらは全て、「アルコールを体内にゆっくりと取り入れる」、あるいは、 「血中アルコール濃度を上げないようにする」ことをを指し、 水を飲むことを二日酔い予防の有効な手段としてあげています。
水で薄めても、杯数が増えると二日酔いには効果なし
二日酔い予防のために水を飲むことは、 飲酒量(アルコール摂取量)を減らすことが目的です。そのため、 水で薄める、あるいは、チェイサーなどで水を飲む場合でも、 摂取するアルコール量が同じであれば、二日酔いになる可能性があります。
脱水症状には効果あり
アルコールは利尿剤であり、 飲酒は多くの場合、脱水症状を伴います。そのため、水を飲むことは二日酔いの症状の1つである脱水症状に効果があります。
脱水症状は喉の渇きのほか、睡眠障害、疲労など多くの症状を伴うことから、 水で薄めることは、これら脱水による症状の予防に効果があります。
アルコール濃度と二日酔い、脱水症状の目安
飲料 | アルコール濃度 | 脱水症状(※1) | 二日酔い(※2) |
ビール | 5% |
脱水になる可能性はほとんどありません。 人・体質によっては、追加で少量の水分補給を必要とします。 |
二日酔いにならない目安量は、1,250ml以下程度です。 |
焼酎 ストレート |
25% | 水分量が絶対的に不足しているため、かなりの確率で脱水症状(二日酔い)を引き起こします。 |
二日酔いにならない目安量は、250ml以下です。 |
焼酎 ダブル |
7.5% | 水分量が絶対的に不足しているため、かなりの確率で脱水症状(二日酔い)を引き起こします。 | 二日酔いにならない目安量は、850ml以下です。 |
焼酎 シングル |
3.7% | 脱水症状(二日酔い)を予防できるアルコール濃度です。 | 二日酔いにならない目安量は、1,700ml以下です。 |
焼酎 ハーフフィンガー |
1.8% | 脱水になる心配はありません。 |
二日酔いにならない目安量は、3,500ml以下です。 |
参考:
※1:脱水症状は水分以外に「食塩」や「ミネラル」を必要とします。
※2:オランダ アムステルダム ECNP会議で発表された79%が二日酔いにならない「血中アルコール濃度0.1%」を元に計算しています。
ただし、アルコール摂取量が同じであっても、血中アルコール濃度には個人差があります。
※1:脱水症状は水分以外に「食塩」や「ミネラル」を必要とします。
※2:オランダ アムステルダム ECNP会議で発表された79%が二日酔いにならない「血中アルコール濃度0.1%」を元に計算しています。
ただし、アルコール摂取量が同じであっても、血中アルコール濃度には個人差があります。
水を飲むタイミングはお酒と一緒がベスト
これまで、世界中で常識とされていた飲酒後の水分摂取や食べ物の摂取が、 実は二日酔いにあまり効果がない可能性があります。2015年、オランダで発表された826名の学生を対象とした調査(※1)によると、 大量飲酒後に、水または食べ物を摂取した学生に質問をしたところ、 54%が飲酒後に食べ物または水を摂取したにも関わらず、 水または食べ物を摂取していないグループと比較して、 二日酔いの重症度に統計的な差異はありませんでした。
この研究では、 食べ物または水を摂取した人は、「わずかに」統計的な改善を示しましたが、 意味のある違いではない、と結論付けらられています。
この研究は未だ寄稿がないため、詳細は分からないものの、 「大量飲酒」の場合は、睡眠前に水を飲んでも、二日酔いに効果がない可能性があります。
ただし、アルコールは利尿剤であり、 大量飲酒では「脱水症状」を引き起こすため、 水分の補給は必須です。
参考:
※1:2016年現在、この論文は公開されていません。
オランダ アムステルダム ECNP会議で発表された内容です。
公開され次第追記を予定しています。
※1:2016年現在、この論文は公開されていません。
オランダ アムステルダム ECNP会議で発表された内容です。
公開され次第追記を予定しています。
水の代わりに炭酸ではダメ?
炭酸はアルコール濃度を薄めるという点では、 水と同様の役割を果たすことができます。しかし、炭酸は炭酸飽和(二酸化炭素が水に溶ける)という性質により、 アルコールの吸収を早めてしまいます。
イギリスで行われた研究では、 炭酸で割ったアルコールは最も早く吸収され、 血中アルコール濃度の上昇をもたらしました(※1)。
その為、二日酔いの予防という観点では炭酸水よりも水の方が優れています。
参考:
※1:2007年 C.ロバーツ(イギリス マンチェスター大学)「飲み物のアルコール濃度と炭酸:血中アルコール濃度に及ぼす影響」
※1:2007年 C.ロバーツ(イギリス マンチェスター大学)「飲み物のアルコール濃度と炭酸:血中アルコール濃度に及ぼす影響」
果実ジュース、トマトジュースがより効果的
水以外では、果実ジュース、トマトジュースが優れています。果実ジュースは水分を補給するだけでなく、 果実ジュースに含まれる果糖が、 二日酔いの原因の一つである低血糖症を予防してくれます。 (ただし、飲み過ぎると効果がなくなります)。
また、トマトジュースには、 アルコールによって排出されるナトリウム、カリウムが多く含まれるため、 脱水だけでなく、二日酔いによって失われる栄養素を補給してくれます。
詳しくは アルコールで失われる栄養素をご参照下さい。
ただし、これら果実ジュース、トマトジュースも、水と同様、 二日酔いの症状には影響がありません。
109名を対象にした研究(※1)によると、 砂糖、果糖、ブドウ糖のいずれも、 二日酔いの軽減に影響を与えませんでした。
参考:
※1:1976年 RH Ylikahri「エタノール誘発性代謝の変化とアルコール中毒と二日酔いの強度に対するフルクトースとグルコースの影響」
※1:1976年 RH Ylikahri「エタノール誘発性代謝の変化とアルコール中毒と二日酔いの強度に対するフルクトースとグルコースの影響」
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