アラニンで二日酔い回復
アラニンはしじみやはまぐりなど、貝類に多く含まれる栄養素です。アジアを中心に、古くからお酒や肝臓のサポート薬として親しまれてきたほか、 アラニン自体に甘味があることから、世界中で食品添加物としても利用されています。
ここでは、アラニンの二日酔いに対する効果、 肝臓に対する効果、 副作用などについて、 紹介しています。
間違えると大変 αアラニンとβアラニン
アラニンは実は数種類存在し、その特徴が異なります。通常、α(アルファ)β(ベータ)の表記がなく、単にアラニンと略される場合、 αアラニンを指し、 αアラニンが更に細分化されたもの(αβの表記がない)として、 「Lアラニン」や「Dアラニン」などがあります。
二日酔いとアラニンの関係では、 αアラニンは二日酔いに対して非常に効果が高いものの、 βアラニンは二日酔いに対して悪影響を与えます。
βアラニンと二日酔い
βアラニンが二日酔い対策として良くない理由は、 アルコールと一緒に摂取することで、 Lシステインの排出を促したり、 タウリンのレベルを低下させてしまうためです。Lシステインは アルコールやアセトアルデヒドの分解速度を早め二日酔いを予防・改善する栄養素です。
またタウリンは アルコールによって傷ついた肝臓を修復したり、 内蔵脂肪(脂肪肝)の改善に寄与する栄養素です。
そのため、体内でこれら栄養素が低下することは、 二日酔いの改善を遅らせるだけでなく、 その後の肝臓の健康維持、修復を遅らせる原因になります。
βアラニンを多く含む食べ物はカツオやエビのほか、 鮭などの脂肪分の多い魚、豚鶏牛に比較的多く含まれます。
アラニンの効果
アラニンは二日酔いの予防・改善のほか、 肝臓に対して、以下のような効果があります。
アラニンの二日酔い・肝臓に対する効果
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飲酒中でも肝臓の損傷を修復する
肝臓はアルコールによって傷つけられ、損傷します。肝臓はそれ自体が高い再生能力を持つものの、 アルコールが投与された状態では、DNA合成を抑制するため、 アルコールによる損傷を修復することができません。
しかし、アラニンとグルタミンを投与すると、 アルコール存在下においてもDNA合成を行い、肝臓そのものを修復する効果があります。
日本で行われたある研究(※1)によると、 24時間阻害されたDNA合成をアラニンとグルタミンが部分的に阻止し、 「アラニンおよびグルタミンは、アルコールによる肝再生の阻害を防止するのに役立つことができることを示唆している。」 と発表しています。
参考:
※1:1994年 日本「アルコールの長期投与を原因とする肝臓再生の阻害に対するアラニンとグルタミンの組合せ投与の効果」
※1:1994年 日本「アルコールの長期投与を原因とする肝臓再生の阻害に対するアラニンとグルタミンの組合せ投与の効果」
アルコール、アセトアルデヒドの分解速度を早める
アラニンはアルコールとアセトアルデヒドの分解に必要なNAD+という補酵素の量を増やし、 アルコールとアセトアルデヒドの分解を早めます。味の素の研究によると、 「アラニンがアルコールやアセトアルデヒドの分解によって変化したNADHを NAD+に戻す働きがある」と発表しているほか、 他の研究(※1)でも、 アラニンがNADの生成に必要なピルビン酸の量を増加させることで、 アルコール、アセトアルデヒドの分解速度を早め、 大量飲酒による急性アルコール中毒にも効果がある、と発表しています。
参考:
※1:1990年 S,Tsukamotoら「マウスにおける急性アルコール中毒に対するアミノ酸の効果:血液や組織におけるエタノール、アセトアルデヒド、アセテート、アセトンの濃度」
※1:1990年 S,Tsukamotoら「マウスにおける急性アルコール中毒に対するアミノ酸の効果:血液や組織におけるエタノール、アセトアルデヒド、アセテート、アセトンの濃度」
他の栄養素(オルニチン)の活性にも貢献
アラニンは、二日酔い予防・改善に効果のある他の栄養素「オルニチン」の活性に貢献します。そのため、 アラニンとオルニチンの両方の栄養素を豊富に含むしじみは、 二日酔い予防、改善の栄養素として、非常に効果的です。
しじみはアラニンを中心とした研究以外に 古くからしじみエキスとして様々な研究が行われており、 台湾の学者らはしじみエキスが慢性肝炎の炎症を鎮めることを発見し、 「しじみエキスは肝臓の潜在的な免疫調整剤である」と発表しています。
アラニンを多く含む食品
アラニンはしじみ、あさりといった魚介類に多く含まれまるほか、 牛、豚、鳥の各種レバーにも多く含まれます。しじみ | 400mg | はまぐり | 300mg |
あさり | 100mg | その他 | 牛・鳥・豚レバーなど |
※100gあたり
サプリメント
アラニンを手軽に摂取できるサプリメントやドリンクも多数販売されています。特にコンビニなでも販売されているノ・ミカタはアラニン含有量が高く、 二日酔い予防に効果があります。
ノ・ミカタ 30本入り箱 | ノ・ミカタ 100ml×6本 |
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他の二日酔いに効果のあるドリンクについては二日酔いに効くドリンク一覧をご参照下さい。
アラニンの副作用
アラニンは厚生労働省(食品衛生法)により、 ヒトの健康を損なう恐れのない栄養素と認定されています。また、日本以外でもJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)において、 「現在の(添加物としての)摂取量では安全性上の懸念はない」とされるほか、 EFSA(欧州食品安全機関)でも安全とされています。
しかし、ある特定の条件を満たす場合、 副作用が生じる可能性があります。
アラニンの副作用のリスク
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厚生労働省の発表によると、 1日あたりL-アラニン50g(50,000mg)摂取を数日間続けたところ、 血中成長ホルモン、グルカゴン及びインスリン濃度が上昇したほか、 7日間摂取し続けた肥満患者において、吐気及び下痢症状が認められた、と発表しています。
また、 アラニンはその特性により低血糖症の治療や点滴に利用されます。
これは、アラニンが血糖値を上げる効果があるためです。
そのため、糖尿病患者では、 二日酔い対策はもとより、 普段の生活においても、 なるべくアラニンを避ける必要があります。
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