二日酔いにヘパリーゼが効く
二日酔い予防薬のうち、 最も製品の種類が多いのが、ヘパリーゼです。ヘパリーゼの二日酔いに対する有効成分は、 「肝臓水解物」、「肝臓エキス」、「ウコンエキス(クルクミン)」 と製品ごとに異なっています。
有効成分「肝臓水解物」は二日酔いだけでなく、 物理的な運動による疲労回復、抗疲労にも効果があるため、 他の有効成分を加えて、 疲労回復に重点を置いたヘパリーゼ製品も多数販売されています。
ここではヘパリーゼについて、 含まれる成分を中心に、 なぜ二日酔いに効果があるのかと、 いくつかのヘパリーゼ製品について、紹介しています。
なぜヘパリーゼが二日酔い予防に効くのか
ヘパリーゼが二日酔い予防に効果があるのは、 主に「肝臓水解物」、「肝臓エキス」、「ウコンエキス(クルクミン)」によるものです。
二日酔いに効果のあるヘパリーゼの成分
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肝臓水解物
動物の新鮮な肝臓を加水分解という手法により、アミノ酸を凝縮した形に変えたものが肝臓水解物です。また、肝臓エキスは肝臓そのものを濃縮したものを指し、両者の違いはその製法によるものです。
このヘパリーゼの主成分である肝臓水解物(肝臓エキス)が二日酔いに効果があるのは、 アセトアルデヒドの分解速度を早める効果と、肝臓の損傷を修復する効果によるものです。
その他、肝臓での脂肪合成や二日酔いによる疲労にも効果があります。
肝臓水解物の二日酔いに対する効果
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アセトアルデヒドの分解を促進する
1998年に行われた研究(※1)によると、 肝臓水解物はアルコール摂取によって生じたアセトアルデヒドの毒性を減少させたほか、 昏睡と死亡が確認されるほどの大量のアセトアルデヒドから、 ラットの生命を守る働きがありました。参考:
※1:1998年 Washizuka M(ゼリア新薬工業株式会社)「エタノールおよびアセトアルデヒド誘発性欠乏に対する肝臓水解物の効果」
※1:1998年 Washizuka M(ゼリア新薬工業株式会社)「エタノールおよびアセトアルデヒド誘発性欠乏に対する肝臓水解物の効果」
肝臓の損傷を修復する
また、別の研究(※1)では、 肝臓の一部を切除したラットにおいて、 肝臓の再生を促す効果がありました。この肝臓再生効果は、 肝臓水解物の抗酸化効果(※2)などによるものと考えられ、 アルコールやアセトアルデヒドは、 その代謝過程で肝臓に酸化的損傷を与えるため、 肝臓水解物は二日酔いによる肝臓の回復にも効果があります。
参考:
※1:1999年 Fukuda Y(ゼリア新薬工業株式会社)「再生ラット肝臓における肝増殖に対する肝臓水解物の効果」
※2:2013年 Inoue N(宮崎大学)「ブタ肝臓加水分解物の成分の分析、および抗酸化活性とアンジオテンシン変換酵素ACE阻害活性の試験」
※1:1999年 Fukuda Y(ゼリア新薬工業株式会社)「再生ラット肝臓における肝増殖に対する肝臓水解物の効果」
※2:2013年 Inoue N(宮崎大学)「ブタ肝臓加水分解物の成分の分析、および抗酸化活性とアンジオテンシン変換酵素ACE阻害活性の試験」
肝臓での脂肪合成を抑制する
慢性、および大量飲酒は、 肝臓の線維化(肝硬変)を促進するだけでなく、 アルコール性脂肪肝にもつながります。肝臓水解物は、肝臓での脂肪合成(※1)を抑制する効果があり、 お酒とおつまみの食べ過ぎによる脂肪肝が気になる場合にも、ヘパリーゼは効果があります。
参考:
※1:2006年 Shimizu M(日本ハム株式会社)「豚肝臓タンパク質加水分解物の消費は肝臓の脂肪合成を抑制することにより、OLETF(肥満糖尿病ラット)の体脂肪を減少させる」
※1:2006年 Shimizu M(日本ハム株式会社)「豚肝臓タンパク質加水分解物の消費は肝臓の脂肪合成を抑制することにより、OLETF(肥満糖尿病ラット)の体脂肪を減少させる」
抗疲労
その他、肝臓水解物は物理的な運動による疲労を回復する効果、 抗疲労効果があるため(※1)、 二日酔いの症状として翌朝疲労が出やすい人にも、疲労を緩和する効果が期待できます。参考:
※1:2013年 Osamu Nakagawasai(東北薬科大学)「肝臓加水分解物はマウスモデルにおいて、物理的な疲労回復を助ける」
※1:2013年 Osamu Nakagawasai(東北薬科大学)「肝臓加水分解物はマウスモデルにおいて、物理的な疲労回復を助ける」
肝臓水解物には多くのアミノ酸が含まれる
肝臓水解物の成分をさらに細かく紐解くと、 18種類以上のアミノ酸が含まれると考えられており、 中でも二日酔いに有益なのは「アラニン」、「メチオニン、システイン」、「トリプトファン」、「グルタミン」です。アラニンはしじみの栄養素として知られており、 アセトアルデヒドの分解促進、肝臓保護効果があります。
またシステインと体内でシステインに変換されるメチオニンは、 アセトアルデヒドの分解促進、肝臓保護のほか、 アルコール中毒の治療にも効果があります。
その他、 トリプトファンは睡眠に影響を与える栄養素で、 二日酔い時の睡眠障害を緩和する効果があります。
ウコンエキス
ヘパリーゼのもう一つの有効成分であるウコンエキスとは、 クルクミンを主成分とするウコン抽出物です。一般には、カレーをはじめ、 南・東南アジア料理のスパイスに利用されるほか、 マスタード、たくわん、お菓子など食品の着色料としても世界中(日本を含む)で使用されています。
このクルクミンには二日酔いの予防のほか、 肝臓の保護、アルコール依存症の改善などに効果があることから、 ウコンの力(ハウス食品)をはじめ、多くの二日酔い予防製品で利用されています。
ウコンエキス、クルクミンの効果・効能については、 クルクミンをご参照下さい。
その他成分
ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン
ビタミンB15とも呼ばれ、 肝臓の働きをサポートしたり、傷ついた肝臓そのものの再生を促す効果があります。飲酒後の肉体疲労に効果があり、 エスカップやリゲインなど栄養ドリンクに含まれることが多い成分です。
ゴミシ
肝臓の働きをサポートする成分です。身体の水分代謝を正常にする働きもあるため二日酔いの症状のうち、 下痢になりやすい人に効果があります。
コンドロイチン硫酸ナトリウム
海藻類や山芋に多く含まれる栄養素です。効果は多岐に渡りますが、二日酔いに対する効果は、 疲労やだるさの改善に効果を発揮します。
コンドロイチン硫酸ナトリウム以外で疲労やだるさを伴う二日酔いには、 オルニチンが二日酔いによる疲労に効果が確認されています。
ヘパリーゼ製品比較
ヘパリーゼは種類が多く、 その成分量や含有内容も少しずつ異なっています。二日酔いの主原因であるアセトアルデヒドの分解促進効果を期待する場合は、 主成分である「肝臓水解物」、「肝臓エキス」、「ウコンエキス(クルクミン)」を多く含む製品がおすすめです。
肝臓水解物を多く含む製品
肝臓水解物:200mg ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン:20mg ゴミシエキス:54mg ※1本50mlあたり |
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肝臓水解物:600mg ジクロロ酢酸ジイソプロビルアミン:30mg ビタミンB2:12mg ビタミンE酢酸エステル:9mg ※一日分6錠あたり |
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肝臓水解物:600mg ※一日分6錠あたり |
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肝臓水解物:600mg ※一日分6錠あたり |
肝臓エキス、ウコンエキス(クルクミン)を多く含む製品
ヘパリーゼの販売元であるゼリア新薬以外からも、 肝臓エキス、ウコンエキスをブレンドした製品が複数販売されています。その他、 ヘパリーゼ以外の二日酔い予防薬については、 二日酔いに効く予防薬一覧をご参照下さい。
また、食べ物やドリンクで予防、防止、回復する場合には二日酔いに効く食べ物一覧や二日酔いに効くドリンク一覧もご参照下さい。
副作用
肝臓加水分解は二日酔いの予防以外にも、 ヘム鉄の供給源とされるほど、「鉄分」が多く含まれます。 (例:豚レバー(100g)中13.0mgと食品の中でも非常に多い)そのため、普段から鉄分のサプリメントを多く服用する人や、 ヘモクロマトーシス(鉄代謝異常)を患う人は、 鉄分の過剰摂取に繋がる恐れがあります。
鉄分の過剰摂取は、肝臓の障害(肝炎、肝硬変、肝臓がん)のほか、 心不全などの臓器障害の原因となるため、注意が必要です。
鉄分のサプリメントとの併用には注意が必要
鉄分のサプリメントを摂取していない人には、あまり影響はないものの、 鉄分のサプリメントを摂取しいている人は注意が必要です。厚生労働省によると、鉄分の1日必要摂取量は、 成人男性(※1):7.7mg、成人女性(※2):10.7mgです(妊娠時の付加量を除く)。
一方、過剰摂取量は、 体重60kgの場合48mgです(体重1kgあたり0.8mgより算出)。
鉄分サプリメントのほとんどは、 一日分でその必要摂取量を満たす(10mg程度配合)ことから、 食事で鉄分が多く含まれるレバーやハツ(心臓)を食べ、 鉄分のサプリメントを服用し、 二日酔い予防薬として肝臓水解物を摂取する場合には、 鉄の過剰摂取に至ることもあるため、注意が必要です。
参考:
厚生労働省
※1:男性の求め方:40歳平均体重68.5kgの一日平均鉄損失量(0.96)と鉄吸収率(15%)から必要量(6.4g)を求め、推奨値(×1.2)より算出
※2:女性の求め方:40歳平均体重53.0kgの一日平均鉄損失量(0.79)と月経血による鉄損失(0.55mg/日)と鉄吸収率(15%)から必要量(8.93g)を求め、推奨値(×1.2)より算出
厚生労働省
※1:男性の求め方:40歳平均体重68.5kgの一日平均鉄損失量(0.96)と鉄吸収率(15%)から必要量(6.4g)を求め、推奨値(×1.2)より算出
※2:女性の求め方:40歳平均体重53.0kgの一日平均鉄損失量(0.79)と月経血による鉄損失(0.55mg/日)と鉄吸収率(15%)から必要量(8.93g)を求め、推奨値(×1.2)より算出
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