スルフォラファンで二日酔い解消
スルフォラファンは、ブロッコリー、芽キャベツなどアブラナ科の野菜に含まれる栄養素です。肝臓保護、腎臓保護、ガン予防などのほか、 二日酔いの予防・解消にも効果があります。
このスルフォラファンの効果は アラニン、Lシステイン、クルクミンのように、 二日酔いや悪酔いの原因となるアセトアルデヒドの分解を早める以外に、 オルニチンや タウリンのように、 肝臓の保護、機能回復にも効果があります。
ここではスルフォラファンについて、 二日酔いに対する効果、肝臓に対する効果、それ以外の効果、 スルフォラファンを多く含む食品、効果的な食べ方、サプリメントなどについて紹介しています。
スルフォラファンは体内で合成される
スルフォラファンのもとは、 ブロッコリーなどの野菜に含まれるグルコラファニンです。
咀嚼(そしゃく)など繊維の切断作用により発生したミロシナーゼと呼ばれる酵素により そのグルコース部分が削除されスルフォラファンになります。
※グルコラファニン…グルコシノレートの一種。
※ミロシナーゼ…野菜などに含まれ、細胞が壊れることで生成される物質。おろし大根の辛味などが有名。
※スルフォラファン…イソチオシアネートの一種。
※ミロシナーゼ…野菜などに含まれ、細胞が壊れることで生成される物質。おろし大根の辛味などが有名。
※スルフォラファン…イソチオシアネートの一種。
スルフォラファンで肝臓強化と二日酔い対策
スルフォラファンの二日酔いに対する効果
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肝臓保護、強化
スルフォラファンが肝臓の保護に効果があるのは、 生体防御機能である転写因子Nrf2媒介による抗酸化作用によるものと考えられています。ニューヨークで行われた研究(※1)によると、 スルフォラファンは、 アルコールによる肝臓損傷の原因となる「脂質の過酸化」と「酸化ストレス」を減らし、 肝臓を保護する効果がありました。
また、エタノールによって増加した脂肪肝やガンの原因となるCYP2E1(エタノールを分解する時に発現する酵素) を減らすことで、アルコール誘発性の脂肪症のリスクを減らしました。
その結果、 「スルフォラファンは、急性エタノール誘発性脂肪肝の阻害剤として有効である」 と発表しています。
また別の研究(※2)でも、抗がん剤(シスプラチン)による酸化的損傷から、 肝臓を保護したほか、 四塩化炭素肝障害モデル(肝機能の評価法のひとつ)を用いた研究(※3)においても、 スルフォラファンを投与したところ、肝臓での解毒能力の改善が見られました。
また、慢性的なアルコールの摂取以外にも、 脂肪肝は肝臓の線維化(肝硬変)を促進する要因となりますが、 2012年に行われた研究(※4)では、スルフォラファンは、これら肝臓の線維化を減衰する効果がありました。
これらスルフォラファンの効果は、ミトコンドリア機能のほか、抗酸化作用、抗酸化酵素によるものでした。
その他、カゴメが発表しているスルフォラファンの効果として、 肝細胞破壊、肝炎などの指標であるASTやALTの数値を低下させる効果もある、としています。
参考:
※1:2014年 Richard Zhoua(マウント・サイナイ・アイカーン医科大学 )「スルフォラファンはNrf2を誘導し、CYP2E1依存大量飲酒アルコール性肝脂肪を保護する」
※2:2011年 Leobardo Gaona-Gaona(メキシコ)「ラットにおけるシスプラチン誘発肝臓とミトコンドリアの酸化損傷に対するスルフォラファンの前処理の保護効果」
※3:2008年「硫黄で栽培したカイワレ大根とルフォラファン抽出物の四塩化炭素誘発肝毒性に対する保護効果」
※4:2012年 Oh CJ(韓国 慶北大学)「スルフォラファンは、成長因子β/ Smadのシグナルを変換するNF-E2関連因子媒介性の阻害を介して肝線維症を減衰する」
※1:2014年 Richard Zhoua(マウント・サイナイ・アイカーン医科大学 )「スルフォラファンはNrf2を誘導し、CYP2E1依存大量飲酒アルコール性肝脂肪を保護する」
※2:2011年 Leobardo Gaona-Gaona(メキシコ)「ラットにおけるシスプラチン誘発肝臓とミトコンドリアの酸化損傷に対するスルフォラファンの前処理の保護効果」
※3:2008年「硫黄で栽培したカイワレ大根とルフォラファン抽出物の四塩化炭素誘発肝毒性に対する保護効果」
※4:2012年 Oh CJ(韓国 慶北大学)「スルフォラファンは、成長因子β/ Smadのシグナルを変換するNF-E2関連因子媒介性の阻害を介して肝線維症を減衰する」
二日酔い予防
スルフォラファンが二日酔いに効果があるのは、 二日酔いの原因となるアセトアルデヒドの分解能力を向上させるためです。2013年に行われた研究(※1)によると、 スルフォラファンはアセトアルデヒド脱水素酵素を誘導することにより、 アセトアルデヒドの代謝を加速した、と発表しています。
この研究では、 スルフォラファンの投与により、アルコールによって生じるアセトアルデヒドの削減を 2倍に増加させました。
参考:
※1:2013年 YusukeUshida(ジョンズ・ホプキンス大学)「スルフォラファンはアルデヒド脱水素酵素を誘導することによりアセトアルデヒドの代謝を加速:エタノール不寛容との関連」
※1:2013年 YusukeUshida(ジョンズ・ホプキンス大学)「スルフォラファンはアルデヒド脱水素酵素を誘導することによりアセトアルデヒドの代謝を加速:エタノール不寛容との関連」
スルフォラファンのその他効果
スルフォラファンの効果一覧
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スルフォラファンは健康に関わる非常に多くの効果が発見され、 また現在も新たな効果が発見され続けています。
肝臓機能強化や二日酔い以外のスルフォラファンの代表的な効果は以下の通りです。
ガン予防
スルフォラファンが世界で大きく注目されることとなった発端(※1)が、 がん予防の効果です。この研究はアメリカの大衆紙 ニューヨーク・タイムスで紹介され(※2)、 瞬く間に全世界にスルフォラファンの効果が広められました。
その後も世界中でスルフォラファンに関わる抗がん作用の研究は進められ、 乳ガン(※3)、前立腺ガン(※4、5)、直腸癌(※6)、肝臓ガン(※7)、 すい臓ガン、胃ガン、肺ガンなど、 非常に多くのガン予防に効果があると考えられています。
また、予防方法も、がん細胞の発達を遅らせる効果や停止させる効果、 ピロリ菌を大幅に減少させる効果(※8)のほか、 ガンの元となる細胞を死滅させる(アポトーシスの誘導)効果など実に様々な成果が報告されています。
参考:
※1:1992年 Zhang Y(ジョンズ・ホプキンス大学)ら「ブロッコリーから抗発癌保護酵素の主要な誘導因子:分離と構造の解明」
※2:1992年 ニューヨーク・タイムス「ブロッコリーにみるがんと戦うための強力な化学」
※3:1997年 Fahey JW(ジョンズ・ホプキンス大学)「ブロッコリースプラウト:化学性発がん性物質から保護する酵素を誘導する非常に豊かなソースである」
※4:2009年 Gibbs A(オレゴン健康科学大学)ら「スルフォラファンはヒストン脱アセチル化酵素6を不活性化することにより、前立腺癌細胞中のアンドロゲン受容体を不安定化する」
※5:2009年 Kim SH(ピッツバーグ大学)「D、L-スルフォラファンは、ヒト前立腺癌細胞におけるアンドロゲン受容体の転写抑制を引き起こします」
※6:2010年 Kaminski BM(ドイツ ゲーテ大学)「イソチオシアネートスルフォラファンはTGF-β/Smadシグナル伝達経路の誘導を介して結腸直腸癌細胞のproto発癌オルニチン脱炭酸酵素活性を阻害する」
※7:2005年 Yeh CT(台湾 国立中興大学)「メタロチオネイン発現とヒト肝癌HepG2細胞のアポトーシスの誘導に対するスルフォラファンの効果」
※8:2002年 Fahey JW(ジョンズ・ホプキンス大学)「スルフォラファンは細胞内外、薬物耐性ヘリコバクター・ピロリの株を阻害し、ベンゾピレン誘発性の胃の腫瘍を防ぐ」
※1:1992年 Zhang Y(ジョンズ・ホプキンス大学)ら「ブロッコリーから抗発癌保護酵素の主要な誘導因子:分離と構造の解明」
※2:1992年 ニューヨーク・タイムス「ブロッコリーにみるがんと戦うための強力な化学」
※3:1997年 Fahey JW(ジョンズ・ホプキンス大学)「ブロッコリースプラウト:化学性発がん性物質から保護する酵素を誘導する非常に豊かなソースである」
※4:2009年 Gibbs A(オレゴン健康科学大学)ら「スルフォラファンはヒストン脱アセチル化酵素6を不活性化することにより、前立腺癌細胞中のアンドロゲン受容体を不安定化する」
※5:2009年 Kim SH(ピッツバーグ大学)「D、L-スルフォラファンは、ヒト前立腺癌細胞におけるアンドロゲン受容体の転写抑制を引き起こします」
※6:2010年 Kaminski BM(ドイツ ゲーテ大学)「イソチオシアネートスルフォラファンはTGF-β/Smadシグナル伝達経路の誘導を介して結腸直腸癌細胞のproto発癌オルニチン脱炭酸酵素活性を阻害する」
※7:2005年 Yeh CT(台湾 国立中興大学)「メタロチオネイン発現とヒト肝癌HepG2細胞のアポトーシスの誘導に対するスルフォラファンの効果」
※8:2002年 Fahey JW(ジョンズ・ホプキンス大学)「スルフォラファンは細胞内外、薬物耐性ヘリコバクター・ピロリの株を阻害し、ベンゾピレン誘発性の胃の腫瘍を防ぐ」
腎臓保護
スルフォラファンは、腎臓の保護(※1~5)にも効果があります。中国で行われた研究(※2)によると、 ラットにおいて、 腎臓の炎症、酸化的損傷、線維症、機能不全によって示された糖尿病性腎症が、 3か月のスルフォラファンの摂取により、Nrf2の発現の上昇に伴い、大幅に抑制されました。
また、スルフォラファンは解毒酵素(第2相)の強力な誘導因子であり(※6)、 低酸素(虚血)、再酸素化(再灌流)により誘導された細胞毒性による腎臓への傷害・損傷に対して、 生体の防護機構を強化するグルタチオン、腎臓が身体の老廃物を排泄する能力を示すクレアチニンクリアランス、 腎臓重量、および組織学的異常を改善しました。(※4)
その他、 ガンの治療に用いられる化学療法薬(シスプラチン)による毒性から、 腎臓を保護する効果も明らかにされています。(※5)
参考:
※1:2012年 Alp H(トルコ ジジレ川大学)「ラットにおいて急性マラチオン毒性によって生成された酸化ストレスに対するスルフォラファンとクルクミンの効果」 ※2:2012年 Cui W(中国 吉林大学)「スルフォラファンによる糖尿病性腎症の予防:Nrf2の上方制御および活性化の可能な役割」
※3:2012年 Chung SD(台湾)「NRF-2シグナル伝達を活性化することは、腎臓における片側尿管閉塞誘発ミトコンドリアのストレス関連オートファジー、アポトーシス、 ピロトーシスを抑制する」
※4:2008年 Yoon HY(韓国)「スルフォラファンはNrf2依存第2相酵素の誘導を介して、虚血再灌流障害に対して腎臓を保護します」
※5:2010年 Guerrero-Beltran(メキシコ)「スルフォラファンは、シスプラチン誘発腎毒性から保護する」
※6:2004年 Myzak MC(オレゴン州立大学)「スルフォラファンによる化学的保護の新たなメカニズム:ヒストン脱アセチル化酵素の阻害」
※1:2012年 Alp H(トルコ ジジレ川大学)「ラットにおいて急性マラチオン毒性によって生成された酸化ストレスに対するスルフォラファンとクルクミンの効果」 ※2:2012年 Cui W(中国 吉林大学)「スルフォラファンによる糖尿病性腎症の予防:Nrf2の上方制御および活性化の可能な役割」
※3:2012年 Chung SD(台湾)「NRF-2シグナル伝達を活性化することは、腎臓における片側尿管閉塞誘発ミトコンドリアのストレス関連オートファジー、アポトーシス、 ピロトーシスを抑制する」
※4:2008年 Yoon HY(韓国)「スルフォラファンはNrf2依存第2相酵素の誘導を介して、虚血再灌流障害に対して腎臓を保護します」
※5:2010年 Guerrero-Beltran(メキシコ)「スルフォラファンは、シスプラチン誘発腎毒性から保護する」
※6:2004年 Myzak MC(オレゴン州立大学)「スルフォラファンによる化学的保護の新たなメカニズム:ヒストン脱アセチル化酵素の阻害」
その他効果
その他、心臓保護(※1)、血管細胞内の抗酸化(動脈硬化予防)(※2、※4)、 虚血性心傷害(※3)、 高血圧予防、コレステロール低減、 関節リウマチなどの抗炎症(※5)、 1型糖尿病の症状改善(※6、※7)、 紫外線から目を守る効果などが確認されています。参考:
※1:2009年 Cristina A(イタリア ボローニャ大学)「スルフォラファンによる第II相酵素の変調:その心臓保護可能性のための含意」
※2:2008年 「ラット大動脈平滑筋細胞における全細胞、ミトコンドリア酸化防止剤と第2相酵素の強力な誘導:細胞保護に対する酸化および求電子ストレス」
※3:2010年 Cheng Shi Piaob(韓国 全北大学校医科大学)「スルフォラファンは抗酸化経路およびミトコンドリアKATPチャネルを通じて、虚血性心傷害を保護する」
※4:2010年 Yujuan Shan(ハルビン医科大学)「ヒト血管内皮細胞上のリポ多糖誘発炎症性損傷に対するスルフォラファンの保護効果」
※5:「スルフォラファンはTNF-α刺激および非刺激滑膜細胞の影響を妨害する」
※6:2011年 Negi G(インド)「スルフォラファンによるNrf2とNF-κBの変調は、ラットにおける糖尿病性神経障害、 高グルコース誘発による変化の複数の症状に対抗する」
※7:2012年 de Souza CG(ブラジル リオグランデ連邦大学)「ストレプトゾトシン糖尿病ラットにおけるスルフォラファン経口治療の代謝効果」
※1:2009年 Cristina A(イタリア ボローニャ大学)「スルフォラファンによる第II相酵素の変調:その心臓保護可能性のための含意」
※2:2008年 「ラット大動脈平滑筋細胞における全細胞、ミトコンドリア酸化防止剤と第2相酵素の強力な誘導:細胞保護に対する酸化および求電子ストレス」
※3:2010年 Cheng Shi Piaob(韓国 全北大学校医科大学)「スルフォラファンは抗酸化経路およびミトコンドリアKATPチャネルを通じて、虚血性心傷害を保護する」
※4:2010年 Yujuan Shan(ハルビン医科大学)「ヒト血管内皮細胞上のリポ多糖誘発炎症性損傷に対するスルフォラファンの保護効果」
※5:「スルフォラファンはTNF-α刺激および非刺激滑膜細胞の影響を妨害する」
※6:2011年 Negi G(インド)「スルフォラファンによるNrf2とNF-κBの変調は、ラットにおける糖尿病性神経障害、 高グルコース誘発による変化の複数の症状に対抗する」
※7:2012年 de Souza CG(ブラジル リオグランデ連邦大学)「ストレプトゾトシン糖尿病ラットにおけるスルフォラファン経口治療の代謝効果」
スルフォラファンを多く含む食品
スルフォラファンはブロッコリー、芽キャベツ、カリフラワー、チンゲンサイなどアブラナ科の野菜に多く含まれています。特にスプラウト(新芽)の状態のものは、 成熟したものより10倍以上、 ものによっては50倍以上もスルフォラファンが多く含まれています。
ブロッコリー | 50~60mg | キャベツ | 50~60mg |
ブロッコリースプラウト | 1000~2000mg | 芽キャベツ | 236mg |
カリフラワー | 30~40mg | ケール | 100mg |
※100gあたり
サプリメント
スルフォラファンを手軽に摂取できるサプリメントもいくつか販売されています。スルフォラファンの効果的な摂取方法
スルフォラファンの効果的な摂取方法
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生後3日以内の新芽が良い
スルフォラファンのもととなるグルコラファニンは、 完全に成長したブロッコリーより、 生後3~4日の新芽のほうが10倍以上、文献によっては100倍多く含まれる、とされています。電子レンジや蒸して調理する場合、時間が重要
電子レンジや蒸すなどの調理方法は、 その時間により、スルフォラファンのもととなるグルコラファニンの減少が確認されています。熱に敏感であるとされる スルフォラファンのもととなるグルコラファニンと熱の関係を調べたある研究(※1)によると、 電子レンジや加熱では、調理後1分以内にスルフォラファンの喪失が始まります。
一方1~3分の蒸し調理は、 スルフォラファンを増加させる、と発表しています。
参考:
※1:2012年 Wang GC(イリノイ大学)「ブロッコリーからスルフォラファン収量に対する熱処理の影響(アブラナ属キャベツL. SSP。イタリカ)」
※1:2012年 Wang GC(イリノイ大学)「ブロッコリーからスルフォラファン収量に対する熱処理の影響(アブラナ属キャベツL. SSP。イタリカ)」
摂取後2~6時間が血中濃度、肝臓濃度でのピークとなる
スルフォラファンは代謝の影響を受けにくく、 ほとんどの臓器で摂取後2時間でピークに達し、 その後4時間ピーク濃度を継続していました。(※1)参考:
※1:「Nrf2ノックアウトおよび野生型マウスにおけるスルフォラファンの代謝と組織分布」
※1:「Nrf2ノックアウトおよび野生型マウスにおけるスルフォラファンの代謝と組織分布」
ブロッコリーの方が、スプラウト(新芽)より健康に良い
ただし、スルフォラファン(の含有量)にだけ注目するより、 成長済みのブロッコリーの方が健康には効果があるかもしれません。アメリカ農務省の栄養成分によると、 ブロッコリーの芽(スプラウと)は、 通常のブロッコリーと比較すると、 総合的な栄養価は低くなっています。
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